当店のOH作業はここが違う!SEモジュール放熱面への放熱グリス塗布に一工夫

モデルチェンジによって旧モデルとなった今もなお人気、ユーザーも数多いツアーTRシリーズ。
レンタルボートフィールドでは不動の一番人気モデル、でももう新品は手に入れることはできないですので今持っているものを大事にメンテナンスして使うしかありません。

当店の作業はここが違う!オフシーズン中のオーバーホール点検のご案内
冬季オフシーズン中のオーバーホール点検いかがでしょうか エレキを使用しないオフシーズンに愛機のOH点検をおすすめします。 一般のサンデーアングラーの方で二年に一回、使用頻度の多い方で一年に一回、完全分解によるフルメニューでの点検、部品...

で、今回はモーター部のOH作業の内、特に無段変速モデルにありますSEモジュールの放熱グリスに関しての内容にフォーカスします。
超マニアックな作業、内容となりますので一般の方には興味がない内容かもしれませんが、ツアーTRシリーズなどのデジタル無段モデルでは特に注意しなければならない部分を当店がどのように考えながら作業をしているのか、知っていただける内容となります。

すべては高価なSEモジュールを長持ちさせるため!

ツアーに限らずすべてのエレキのモーターハウジングは複数個のOリングやシールなどで防水されております。
今回のツアーTR82の場合、

ハウジング間の大きいOリング 2個
スルーボルトの小さいOリング 2個
SEモジュールを固定しているタッピングの小さいOリング 2個
アーマーチュアコアシャフトのオイルシール 2個

以上3種8点のシール部品が使用されており、当店でOH作業を行う場合これらはすべて交換いたしております。

そしてモーターハウジング内部の点検と洗浄、ブラシ回りの焼損の点検、そしてツアーTRシリーズやFWフレッシュウォーターシリーズでは特に大切なSEモジュール回りの作業です。

SEモジュールとは、ツアーTRシリーズなどの変速制御基板部品で比較的高価なパーツの一つです。
TRやFWシリーズでモーター内部にコムキャップ外側から2本のタッピングにて固定されています。

コムキャップ内に配置されたSEモジュール、この上にブラシカードやハーネスが来てエレキを動作させます

そして最も大切な作業としてあるのがSEモジュールの放熱面に塗布されている放熱グリスの塗り直しです。
SEモジュールはバッテリーからの電力を制御して変速コントロールを行う中枢部品、使っている間に発熱するのでそれを冷却する目的で放熱グリスを介してコムキャップへ密着するように配置されています。
ここを疎かに作業するとSEモジュールの回路基板の寿命が短くなってしまうことも。

まずは古い放熱グリスをキレイに掃除します。

SEモジュールの放熱面と相手側コムキャップの当たり面、とにかくお掃除!

そして新しい放熱グリスを指で塗り広げて、一旦コムキャップ側へ押し当ててしばらく放置。その後もう一度SEモジュールを外すと・・・

 

この写真でわかることが、放熱面に塗布した放熱グリスとコムキャップ側にキレイに密着していないところがあり、放熱面とコムキャップが接触していない、ということ。

SEモジュールの放熱面はコムキャップの内側へ密着することで熱をコムキャップ側へ逃がします。コムキャップ外側は水中ですのでいわば水冷に近いですね。

放熱グリスがついていない=密着していない=SEモジュールの放熱効率が落ちている
ということですので、これで組んでしまうのはプロではありません。

上の写真では密着していないところがありますので、ここを中心に再び放熱グリスを指でぬりぬり。

再度SEモジュールをコムキャップへセットしますと・・・

さっきよりは接触している面積が増えたことがわかります。

放熱グリスは分厚く塗れば逆に放熱効率が低下しますので、最低限の量で全面積がうまく密着するように繰り返して確認することが大事なんじゃないかな?と思って作業をしております。

すべては高価なSEモジュールを長持ちさせるため!

そして密着度合いが確認できたら本固定。
コムキャップ外側から専用のタッピングスクリュー2本で固定しますが、この際のトルクにも注意。ここは間違っても機械なんかで作業してはいけません。

スクリューの相手側、SEモジュールのメスねじ側は薄いプラスチックの筒、簡単にねじ切れてしまって固定ができないばかりか、タッピングスクリューの穴からモーター内部への浸水の原因となります。

今回ご案内しました放熱グリスは日々の使用で加熱と冷却を繰り返し、古くなると最終的に硬化してしまって放熱を邪魔するだけになります。
精密な回路基板部品であるSEモジュール、熱には特に弱い存在です。
OHする目的は何なのか?を考えればここの作業は必ず必要と思いますし、それによって故障のリスクを最小限にすることも可能になるとても大切な作業ですね。

 

 



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